現在執筆中のAyuoの自伝的小説からの抜粋コーナー



 

「人にはそれぞれ一曲の歌を持っている」


人にはそれぞれ一曲の歌があって、それを一生歌い続けるという話を僕は聴いた事がある。

インドのヴェッダ族の音楽はそのように出来ているらしい。ディズニーの映画『ブラザー・ベア』で見れるようなシャーマニズムの文化では一人一人が自分の動物のトーテムを持っているが、それと同じように一人一人が自分の歌を持っていて、人の一生はそれの変奏曲に過ぎないと言う考え方はよく分かる。
音楽を作り続けていると同じテーマの変奏曲を人生の経験の上で書いているような気がしてくる。クリームのベース、ジャック・ブルース、は作曲家はみんなベートーベンでも自分も含めて2-3個のテーマだけを一生書き続けると言っていた。
アメリカのミニマル・ミュージックの父と呼ばれてる作曲家のラ・モンテ・ヤングは一音の通奏低音の上に彼と妻が歌う音楽を一生を通してやって行くだろうと言っている。

僕にとっても自分の音楽には一つのテーマしかなく、それが自分にとって少しずつ見えて来た70年代の後半から色々なヴァリエーションでそのテーマをやり続けている。ただそれにはまだ名前を付けられない。名前を付けるとその音は変ってしまう。
その音楽は人生の中から流れてくる。だからとても個人的なのだ。
生きてゆく内に変化して行く。生きていると一つの物語の絵本が広がってくると同じように。
人を作っているゲノムは一冊の本だとする。
そして、人の細胞はその人が生きている環境や経験と共に変化して行く。
たちまち一つ物語の本が出来て行く。
それはその人だけの物語だが、他の人のために役に立つかもしれない。

客観的に本を読むように人生を見ていれば、人生は面白い。

And the sounds,
Evolve.