作詞


Grand Unification Theory Symmetries 2010年シアター・イワトのシアター・パフォーマンスの為のテキスト 言葉:高橋鮎生


Grand Unification Theory Symmetries
(A Collage of Poetry, Stories, Song and Music in Theatre Form
By Ayuo
Poetry by Ayuo.
Words by, Ayuo, Kiyoshi Awazu, Jeanette Winterson, John Cale.

Cast:
鮎生、夢を見る人:鮎生
ジョン:粟津ケン
レベッカ、暦:柴田暦
Dancer: Yoshie
A: 松本卓以
B:大鹿由希
C:甲斐史子
D:般若佳子
パーカッション:立岩潤三
映像:katte-guchi







夢を見る人:
僕は夢を見る人。
皆さんの近未来に住んでいる。
あまり遠くない近未来かもしれない。
私達の社会では人が自由に夢を見る事は禁じられている。
僕の仕事は皆さんの代わりに夢を見る事。

ジョン:
オレの名前はジョン。
オレはイギリスの隣のウエールズで生まれた。
今は1955年。
オレは今15歳。

レベッカ:
私の名前はレベッカ。
1970年に生まれた。
私は養子。
宣教師になるために育てられた。

夢を見る人:
23組の染色体

A: ビルのロビーで知らない人と話を始めた。
知らない人だと思っていたのだが、
わたしの父はその人の母をどこかで知っていた。

B: カフェで知らない人が隣りに座った。
知らない人だと思っていたのだが、
わたしの祖父はその人の祖母をどこかで知っていた。

C: 夢の中でしか見たことない公園で
わたしが夢でしか会った事ない人と
一緒に歩いていた。
恋をしていた
この人は誰?

D: ある古い本を取り出して見ると
そこにわたしの祖父の夢が書いてある
見たことない国
会ったことのない人
考えたことのないことの夢

夢を見る人:
遺伝子に書かれている物語を
夢の中で見る事がある
見た事のない街
会った事のない友達
わたしの中のわたしたち

A: わたしはあなたの声を聞いている時に
あなたの祖父の声を聞いているような気がする

B: わたしのあなたの目を見ている時に
あなたの父の目を見ているような気がする

C: わたしはあなたの口を見ている時
あなたの母の口を見ている気がする

D:わたしはあなたを見ていると
あなたの祖母を思い出してしまう

A+B+C+D(ばらばらに3回言う):
これがあなたの手?
これがあなたの首?
これがあなたの口?
これがあなたの声?
A+B+C+D一緒に:
DNAの長い線
23組の染色体
A:ここから物語が始まる。

In Dorian:
Play the following notes in English in the following order, very slowly/
Second player begins when the first player plays the second D in the line of notes.
Play each note as a quarter note except when it is written like this: --- (this signifies the length of 3 quarter notes.)
D---
Will be played as one whole note.

Begin here:

D,E,F,G,E,C,F,E,D,C,D,E
D,E,F,G,E,C,F,E,D
A,B,C,D,B,G,C,B,A,G,A,B
A,B,C,D,B,A,C,B,C,G,A,B
G,F,E,C,F,E,D,E,D
G,F,E,C,F,E,D,E
D---,C,D,A,D---,C,D,A
D---,C,D,A,D---,C
Then return back to the beginning of the group of notes.
When all the players have reached the end, play 6 and 7 all together in octave and unison and end.
---------------------------------------------------------------------------------------------
ジョン
オレの名前はジョン。
オレはイギリスの隣のウエールズで生まれた。
今は1955年。
オレは今15歳。

オレは7歳まで英語を習わなかった。
おばあちゃんはいつも言っていた:
『イギリス人は私達を侵略した。
なぜ彼らの言葉を話さければいけない。
自分の言葉で話しなさい。』
オヤジは英語しか話せなかった。
オヤジが育った時代では、誰もオヤジに自分達の言葉を教えなかった。
だからオヤジは、家の中で一切話す事が許されなかった。
オヤジはオレが小学校行くまで、オレと話す事も出来なかった。

私達は良いクリスチャンとして育てられた。
良いクリスチャンは日曜日に音楽を聴かない。
『バッハの曲だけど。』
『ダメだと言ったらダメだ!』
日曜日は休みの日と、決まっていた。
オレにとっては音楽だけが、オレを解放してくれるものだった。

レベッカ
私の名前はレベッカ。1960年に生まれた。私は養子。宣教師になるために育てられた{é子供の時は、よいクリスチャンのためのお話の本と、聖書しか読むのを許 されなかった。教わった音楽は賛美歌。他の子供達は、ビートルズやポップスやロックを聴いていた。[私の母は世界を、100年前、ラジオが発明 される前のままにしておきたかった。
私が小学3年生の時、生 みの母が私 を探しにやって来た。でも、私を育てた母は彼女を家の中に入れなかった。『レベッカは私の子供よ。あなたはレベッカを捨てた人じゃないか!!帰れ 二度とここに来るんじゃないよ。』生みの母の声を聞いたのは、それが最後だった。
育ての母は言った『あなたは神様に救われた子なのよ。感謝しなさい。 さっきの人は罪人よ。育てる事も出来ないのに、子供を産んで。 でも、神様にはあなたがとてもいい子だということが分かったから、神様の為の人生が過ごせるように私に届けたのよ。あなたは神様に救われた子。』
私は本を読{のが大好き_ 本は私を別の世界に連れて行{てくれる。_千夜一夜、シェークスピア、エドガー・アラン・ポー。A私はベッドの下にたくさんの本を隠した。そして母が眠った{、懐中電灯を取り出して、シーツの中で、夢の世界の扉を開けた。ê弦楽四重奏、ベリー・ダンス、パーカッション:千夜一夜の踊り: 光の動き (Nava)
レベッカ:
でも、私が隠していた本は時々母に見つかってしまった。母は見つけた本を全て捨てた。
『よいクリスチャンは余計なものを読まないó』
夢を見る人
僕は夢を見る人。
皆さんの近未来に住んでいる。
あまり遠くない近未来かもしれない。
私達の社会では人が自由に夢を見る事は禁じられている。
僕の仕事は皆さんの代わりに夢を見る事。
そう。
僕はちゃんと政府から認められた国家公務員。
私たちの世界では、人は眠る事が許されない。
どうしてそうなったのか?
21世紀の始めごろからはもう人々の情報はみんなインターネットの中にあった。調べようと思えば、みんなの書いたメール、振り込まれた収入、健康状態、どこにいて、どういうことを考えて、誰と会っているかが、簡単に分かる時代になっていた。それも、みんなが自分から携帯やパソコンを買っていった。
昔の商店街にあった小さな街角のお店はつぶれ、セヴン・イレブンや大きなスーパーのチェーン店に変わって行った。個人が自分独自でビジネスを始めにくい時代になって行った。銀行も会社も次々と合併を繰り返して、いくつかの限られた大きな会社のみが世の中のほとんどの物のオウナーとなった。エンターテインメント会社もニュース会社も、いくつかのオウナーが全部持っている時代になった。それをほとんどの人が疑問(ぎもん)に思わなかった。教育レヴェルはどんどん下がる。考える事の出来る人が増えすぎたら、人をコントロールしにくいと思わない?エンターテインメントをどんどん増やす。どこにいっても、ゲームをやっている人がいる。テレビ・チャンネルがどんどん増える。毎晩、どこかで誰かがライヴをやっている。でも、それを見ている人の数はどんどん小さくなっていく。不況だから?それとも、エンターテインメントをどんどん増やす、必要があるから?そうではない。夢を見させるためにどんどん増やされていた。表現している人は多くても、中身はない。
そして、まるで、みんながそれを望んでいたかのように、情報管理の時代が始まっていた。
そして、私たちの時代になると、夢を見る事も許されなくなった。
個人的に夢を見るというのは怪しい人がする事だった。
アンダーグラウンドで行う事だった。
ドラッグだった。犯罪になった。

初めて彼女が僕のアパートに来た時、僕の持っているようなベッドは見た事がないと言っていた。

  Yoshie: 『わー。これアンティーク?』
  Ayuo: 『アンティーク好き?』
  Yoshie: 『まあ、すごく。。古いじゃない。』
  Ayuo: 『これが僕のベッド。たった一つの。』
  Yoshie: 『何のために使うの?』
  Ayuo: 『ここで眠るの。』
  Yoshie: 『特別な時に?』
  Ayuo: 『毎晩9時間か10時間。』
  Yoshie: 『毎週でしょう。』
  Ayuo:   
  今夜、やさしい星がかがやく中で、
  よかったら君と一緒に、
  星とともに暗闇につつまれながら。
  一緒に眠ってくれる?

  Yoshie:
  『一緒に寝転がって欲しいという意味なの?みんなにも私たち一緒に寝転がっているかって聞かれるのよ。』
Ayuo:
『いや。一緒に眠る、ということ。一緒に夢を見るという事』
Yoshie: 『一晩に9時間も10時間も?』
Ayuo: 『そう。』 
きみのねむるすがた。
暦:
きみのねむるすがた
  わたしはきみをみている
  きみのほっぺた、 やわらかいくび
  きみのこえ
  あまいたくましさ
  かおをきみのなかへおして

  きみのねむるすがた
  きみのうつくしさを
  息にする きみの息とともにうごく
  わたし。。。。。よんだ?
  いいや
  それはそとの木々の音
  外でとおる車の音

きみのねむるすがた
ゆめのなかの水は青くおどる
植物的にいつまでも泳いでいる
おなじまくらはかなしくみえる
わたしときみのちがいをかたる

------------------------------------------------------------------------------------------------------

ジョン:
オレが13歳だった時、
おふくろが乳癌の手術を受けなければならなくなった。
でも、オレには何も説明もなかった。
良いクリスチャンの社会では、言葉では語ってはいけない体のパーツがあった。
オレにはただ、『お母さんは病気になったから、しばらく病院に入院しないといけなくなったのだよ』と言われただけだった。
オヤジとはあまり会話した事もなかった。
でも、その頃のオヤジは怒りと悲しみに溢れ過ぎていて、もう言葉も出ないようだった。
オレにはたくさんの質問があった!
でも、それに答えてくれる人はどこにもいなかった。

オヤジは一晩中、炭鉱夫として働いていた。
学校から帰ると、おばあちゃん しかいなかった。
おばあちゃん はある日、オレに言った:
『お前のお母さんはお前を産んだから病気になったのだよ。
お前のせいだよ!』
おふくろは一ヶ月半しか入院していなかった。
でも、オレには数ヶ月もいないようだった。
そして、戻った母は別人だった。
それからは一生病人だった。
ある日、おふくろが風呂に入っている時にのぞいてみた。大きな傷跡が見えた。おふくろはオレが見ていることに気づいた。
オレは走って逃げた。

鮎生の弾き語り: Julia (Words and Music by John Lennon, arranged by Ayuo)
----------------------------------------------------------------------------------------
レベッカ:
15歳の時に、恋に落ちた。誰にも言わなかった。B私はキリスト教の女子高校に通っていた。彼女は私の同級生だった。一緒に宿題をやっていた。私達が恋に落ちることは許されなかった。
ある日、学校の先生が、私が彼女にあてた手紙を読んでしまった。私は学校から放り出された。·母は私を家から追い出した。『出ていけ、この恩知らず!サタンの娼婦になる為に育てたのじゃないよ!あんたも結局はあんたの母親と同じよ!私はもうあんたの事なんか知らないからね! あんたなんか死んじまえ!』どうしてクリスチャンの社会では、恋を表現しては–けないのですか?
バンド曲と歌:Perfumed Scorpion - Layla

-----------------------------------------------------------------------------------------------
ジョン:
十代後半のオレはいつも逃げる事か死ぬ事を考えていた。
オレはよくトイレの鏡の前でナイフを持ちながら、自分に向かって語っていた。
Are you going to do it?
Are you going to do it?
Or are you going to escape!


音楽

I'm gonna leave this place.
Find another life.
Leave this mud.
Find a better life.
But the drums kept pounding in my heart!

日曜日に音楽を聴く事は許されなかった。
小さなラジオをベッドの中に隠していた。
その内、いろいろなラジオ番組がある事が発見出来た。
Radio Free Europe, Radio Luxembourg, Voice of America。
その頃、まだオレは知らなかったけれど、これらのラジオ局はみんなアメリカ企業の文化財団のお金でCIAによって作られたものだった。
でも、オレに自由の世界の夢を与えてくれた。
聞いたこともない音楽。
John Coltrane, Charles Mingus, Stockhausen, John Cage.
どこかに別の世界がある。
オレは必ずその世界を見つけてやる!
マンハッタンのロワー・イースト・サイド•ビートニックの詩•や前衛音楽家がいる。
たった3000マイル先にこんな世界があるのか?
オレは絶対にそこに行ってやる!
そして、彼らと共に活動をするのだ!

I knew, I knew.
I just had to go.

I'm gonna leave this place.
Find another life.
Leave this mud.
Find a better life.
But the drums kept pounding in my heart!

学校では、オレはアホのふりをしていた。
町の馬鹿者。
それがオレさ。
オレは自分がキライでしょうがなかった。
だから、道化師になってみんなを笑わせた。
『あの馬鹿者がいらゃ楽しい。
みんな大笑い出来るからな!』
そう思わせたかった。

その頃、初めてセックスをした。
教会の牧師の娘だった。
教会でのコーラス練習の後、
何となく、そんな感じになった。
雨が降った後で、地面は濡れていた。
家に帰るまでドロだらけになったことに気が付かなかった。
妊娠したら、大変だ。
こんな町に一生いなきゃいけない。
おふくろはいつもオレに言っていた:
『お父さん見たいになるんじゃないよ。
奴隷みたいに働いて、
憎しみと悲しみと怒りの固まりになんかにならいでおくれ。
人生を大切してね。』

小さな町は ねたみ と うらやみ でいっぱい。
監視しあって、誰かが得したと、不平たらたら。

I'm gonna leave this place.
Find another life.
Leave this mud.
Find a better life.
But the drums kept pounding in my heart.

アメリカで作曲を勉強する為の留学金をもらえた。
オレはこの町で一番の道化師でバイオリン弾き。
ベッド・シ•ツの中の夢で見たニューヨークに行ってやるさ。
ジョン・ケ•ジとジョン・コルトレーンに会•に行くのさ。
オレのおふくろの顔を覚えているよ。
『偉くなって帰ってくるんだよ。
待っているよ。
親はいつでも、お前の事を愛しているからね。』
涙を浮かべながら言った。

ジェット機の中、

オレには今まで感じた事がなかった興奮が、
心の中からわいていた。
空を見上げた。
澄みきった青い空は、
オレも暖かく向かえているようだった。

Goodbye I'm leaving…..

---------------------------------------------------------------------------------------

弦楽四重奏曲)線を描く (言葉:粟津潔)

―\―\―\―\―\―\― 休憩 ―\―\―\―\―\―\―\

鮎生、暦:歌とギター
It`s Raining in my Heart (Words by Arthur Rimbaud and Paul Verlaine, original melody in æ by Claude Debussy, re-composed into a 4/4 Bossa-Nova by Ayuo)


ジョン:
オレはニューヨークに着くと、
ギリシャ人の作曲家のところに、作曲を勉強しに行った。
彼は片目しかなかった。
顔の半分に大きな傷跡があった。
彼はナチスに対するレジスタンスで戦っていた。
第二次世界大戦が終わる頃、冷戦が始まった時に、
左翼側はアメリカとイギリス側のお金で動いた右翼にやられた。
彼は死にかけた。
彼の音楽には本物のパワーがあった。
オレは感動した。
彼の音楽はギリシャの伝統音楽にも聴こえた。
彼は教室の黒板を現代数学の定理でいっぱいにした。
彼は新しい音楽を現代数学を使った作る事を教えた。
彼は数学の確率論を使って新しい音楽を作曲した。
でも、オレは彼の理論よりも彼の音楽の方が好きだ。
彼の音楽は彼の経験を語っている。
だから、感動出来るのだ。
彼の理論は、彼の頭の中ですでに聴こえている音楽を証明する為に作ったものじゃないかと思うようになった。
彼もヨーロッパの人間だった。
ヨーロッパ人には、自分がやる事には、いつも理屈を付けないといけないようなクセがある。

弦楽四重奏の上で語る:
(弦楽四重奏:Drone and Fragments)

彼の作品がカーネギーホールで演奏される。
ニューヨーク、オレが故郷のベッドで想像していた町。
コンサートの次の日、ロワー・イースト・サイド・マン•ッタンに住んでい•ある作曲家の•を}ねた。彼の家にはいろいろな人が出入りしていた。彼はモルモン教の家族から来た人だった。彼は長いヒゲを生やして、長いローブを着ていた。彼のような人が、アメリカの大草原を馬車で横断していたと言えば、すぐに想像出来るだろう。彼は生まれながら、先住民のチーフのような性格をしていた。
彼の家は中東の阿片窟のようだった。
みんな床の上に座っていた。
みんなマリファナを吸っていた。
床には亀が自由に歩いていた。
彼はヨーグルトや自然食を作っていた。
彼はアジアと中東の音楽が好きだった。

オレたちは仲間になった。
オレも即興演奏グループのメンバーになった。
オレもマンハッタンで一番のドラッグを売るグループのメンバーになった。
--------------------------------------------------------------------------------
アルファベットと音楽用語でオレたちがドラッグを売るための用語を作った。
たとえば、アヘンは英語でオピウムと呼ばれている。
Oで始まる。
だから、オーボエという名前で呼ぶ事にし‘。
一楽章は一ポンドの重さの事。
二小節とはにオンスの事。
マリファナは英語の俗語でポットと呼ばれている。
Pから始まる。
だから、ピアノという名前で呼ぶ事にし‘。
だから6小説のオーボエ・ソナタといえば、アヘンを6オンス届けた。


オレの近所にハンナという美人が住んでいた。
彼女は彼女の二人の子供と住んでいるシングル・マザーだった。
彼女はスリムで素敵だった。
彼女とよく一緒にヘロインを打った。
オレの音楽仲間も、彼女と一緒にヘロインを打っていた。
オレは、彼女と一緒にセックスをするようになった。
オレの音楽仲間も、彼女と一緒にセックスをするようになった。
オレラは、アートと愛でつながっていた。

彼女は、彼女の住んでいるアパートの管理人のぺぺとも親しかった。
しょっちゅう彼女の部屋で泊まっていた。
ある日、彼女のアパートでポーランド野郎の殺し屋と会った。
彼は昼間は工事現場の労働者をやっていたが、500ドル彼に渡せば、どんなやつでもメタメタにやっつけるというやつだった。
オレは、その時、リコーダーを吹いていた。

『Shut up Motherfucker! I`ll shove that fucking thing right up your ass』

オレは吹くのを止めなかった。

彼はその内、『Fuck you!』と言って帰った。
その一週間後、彼はハンナのところに夜中にやって来た。
彼は彼女のアパートの前で泣き叫んでいた:

『オレを今入れてくれ!お願いだから、入れてくれ。』

部屋の中からアパートの管理人のぺぺが言った

『遅いから、帰れ!みんな寝ているんだ。』

ポーランド野郎はライフルでドアをぶったおしてから、ぺぺの脚を撃った。
ぺぺの脚は切断された。
ハンナが部屋に入ると、ぺぺは自分のひざから切断された脚を手に持っていた。
壁は血だらけだった。
警察が来た時、ハンナの二人の子供たちは連れてかれた。
彼女はいい母親にはなれない、と言いながら。
オレの音楽仲間は彼女についての歌を書いた。

子供たちは連れて行かれた。
彼女はいい母親になれない。
子供たちは連れて行かれた。
彼女がやった事で。
彼女が街角でしていた事や
バーやアレイでしていた事
だれも敵わないと言われていた。
そして、彼女がやっていたドラッグの数々。
あのくさった、アバズレは誰にも断れなかった。

That miserable rotten slut just couldn`t turn anyone away.



鮎生のギターと歌:The Kids
レベッカ:
私は死体置場で死体にメークを付けるアルバイトをした。
棺桶に入れる前に、崩れていないように見えるように、メークをする。貯まったお金でニューヨーク行きの切符を買った。私の父はニューヨークに行ったという話を聞いたことがあった。_
ニューヨークは眠らない町だった。この道は私の父も歩いていた道。私と共に歩いて。
「過去」とは、本当にお{たことなのか?´それとも、今こうして私がいるから、おきることなのか。もしかすると、「過去」は現在によって決まるのかもしれない。
「未来」にもたくさんの未来があるのか?そして、私達はいつも選んでいるのか、どんな未来になるか。Çそして、それによってどんな過去になるか。
気が付かない?事実が、記憶とは、別のものになっている に。誰かと、共通だったはず 過去について話しているのに_その人が別の記憶を っている、というような時に。昔の写真の 景が、自分の記憶と違っていた時に。Ã以前読んだ本をもう一度{み返すと、別の本のように感じる‘に。思い違い?·それとも、過去も未来と一緒に変わっているの?
電子はつねに同じ場所にいない。電子は動いている訳でもない。ì電子は時間によって‘化するものでもない。
彼は私の父を覚えていた。ä彼は私の父と彼の父がセントラルパークで会っていたのを覚えている。Å私は私の父の子。私は父に似ている。彼も彼の父に似ている。道が一つに向かっている。全てが一つの点に向かっている。ƒ過去の私も。私の父も。今、歩いている道も。

A: あなたは何で出来ているの?
B: 何もない空間と
光の点
C: 存在するために
誰かになる

暦の歌と鮎生のブズーキ:さよなら (詩:秋山邦晴、曲:武満徹)
-----------------------------------------------------------------------


夢を見る人:
僕は夢を見る人。
夢を見る事が僕の仕事。
僕の夢は電子的に記録され、町中のドリーム・ポイントから放送される。
眠らないライフスタイルが開拓されるとすぐに、夢からの励ましによって人々がもっとよく働くようになることが発見された。

人の夢を創作しようとする事は新しい事ではない。
そうした実験はアメリカでは1950年代から行っていた。

CIAはロッカーフェロー財団のお金で1953年からMK-ULTRAという、今では有名な研究プロジェクトを始めていた。
それはどんなものだったか?
古代ギリシャでは特別なキノコを使って、
神々を讃える儀式をやっていた。 
参加をゆるされる人は生きたまま死の世界から戻った気持ちになった。
第二次大戦中に、そのキノコと似ている効果を得られる
LSD という新しい薬が発見されていた。
当時、アメリカはソ連とはりあっていた。
そう、冷戦があった。
アメリカではプロパガンダや催眠術などの古典的な洗脳術よりももっと効果的に、
人をコントロール出来る方法を探していた。
そこで、ロッカーフェロー財団のお金でMK-ULTRAというコード名を持つ研究プロジェクトがはじまった。
これは人体実験だった。

1950年代。
ニューヨークのグリンウイッチ・ビレッジに
ミスター・ホワイトというアーチストがいた。
彼の本当の正体はCIAの情報部員だった。
嘘じゃない。
彼はアパートを借りて、そのアパートにいろいろな
ニューヨークのアーチスト、学生、音楽家等を誘った。
そこで、古代ギリシャのキノコとLSDを試させ
その記録を政府に渡すのが彼の仕事だった。
ジョンはいろいろな色が見えるようになった。
バーバラは悪夢を見たようになった。
一人一人が違う世界を体験した。
ある人に突然LSDを与えて、あらかじめ作成したイメージと言葉を与えると、
その人はその言葉を信じるようになった。
あらかじめ、これはギリシャでやっていた儀式だと説明すると、
生まれ変わるような経験をする人もいた。
この人体実験のプロジェクトは、サン・フランシスコでも始められた。
意識が変わると、世界の見え方が変わる。
それは、権力者にとって、都合よく使える場合もあれば、
権力に反対する人が増える場合もある。
使い方しだいだった。
ジョン:
新しいアートも次々と創作された。
ニューヨークのダウンタウン・ソーホーに新しいアートを展示できる画廊が次々と出来た。
1950年代の抽象表現主義というアートはCIAが発明したと言っても、おかしくないという人も大勢いる。CIAが南米に派遣(はけん)していた情報部員をアメリカに呼び戻し、冷戦中に絶対にソビエトに作れない前衛アートを支援した。これは、自由世界のプロパガンダに利用されるものとなった。Voice of Amerca, Radio Free Europeにジョン・ケージを放送する。ビートニックの詩人を放送する。これも戦争だった。そうでなければ、なぜ2万人の人を拷問して、殺したプロジェクトを作った人に文化の担当にするだろうか?
ロッカーフェロー財団、フォード財団、フェアフィールド財団がCIAと組んで才能を持つアーティストたちにお金を与えるプログラムを作った。

タイコのリズム:中東の伝統的なリズムに基づくパターンをここからたたく


夢を見る人:
20世紀の始め頃の1913年に、ジョン・D・ロッカーフェロー、JPモーガン、ポール・ワーバーグとバロン・ロスチャイルドはアメリカのドルを印刷するインデペンダントな会社、Federal Reserve を成立した。そして、アメリカ政府は、Federal Reserveからドルを買い、その度に利子を払うという法律を作った。どういうことか?政府ではないものがお金を勝手に印刷出来る法的な権利を持つということは、インフレもデフレも好きに作れるということだ。インフレにしたかったら、お金を増刷すれば良い。国家が不況になった時の彼らの行動を見ると、きっと面白い事が見えてくるだろう。紙幣は、金(き )のように具体的なものではなく、金(きん)の代理としての単なる紙切れだ。Federal Reserveは金(きん)の代理という言葉をお金の札から消す事に成功した。つまり、彼らは紙切れに価値を与える権利を国家を通して手に入れた、ということだ また、一ドル一ドルに対して利子を払わせる事によってアメリカ国家に赤字をつくらせながら、Federal Reserveはどんどんお金を儲けていた。そして、Federal Reserveを成立した同じ年の1913年に、ロッカーフェロー財団という組織をジョン・D・ロッカーフェロー、は作った。名目は世界中のHumanityのためであり、科学から文化をサポートする組織に見えた。
レベッカ:
20世紀の終わり頃ににアメリカのロックフェラー家の一人がハリウッドのコメディー映画監督にあるシナリオの話をしに行った。ニューヨークの世界貿易センターに飛行機が突っ込んで、ビルが爆発する。みんなが恐怖に追い込まれる。そこで、アフガニスタンの山の中にテロ・グループがあって、犯人は彼らだとメディアから流す。山の穴から、モグラのように出たり、入ったりする映像を作ってみせる。それを、みんなは信じてしまうのだ。メディアのオウナーになれば、その力は凄い。そこで、世界中にテロ防止の作戦が始まる。テロ・グループはつかまらないままになる。人の監視をより強める。

タイコのリズム:ここで終わる。
夢を見る人:
でも、私たちの住む世界ではもっと良い方法が見つかったのさ。
僕の夢は電子的に記録され、町中のドリーム・ポイントから放送される。
僕の夢は常に監視されている。反社会的な要素がないようにチェックされている。

最近では町中にスリープ・バーというお店が出来ている。
暗くて、静かで、ベッドがたくさんある。そこに夢を一緒に見る相手を見つけたい、といった期待を持っている人がたくさん行く。人は人とつながる事が難しくなって来ている。ここなら相手を見つけられるかもしれない。話しながら、夢を見る。夢を見ながら、話す。
今夜はスリーピング・ビューティーというスリープ・バーに行く事にした。
スリーピング・ビューティーでホットミルクにブランディーを入れたドリンクを注文して、まくらの部屋に入った。まくらの部屋は暗く、やわらかく、夢を映すスクリーンが壁にある。僕が部屋に入った時、僕の夢を上映していた。本当の夢とは少し違っていた。『本当はこう終わらなかった。これは本当は悪夢だった。』

Yoshie:『あなたは仕事として夢を見る事をやっている人だったのですね。正式な職員だと知らなかった。』

Dreamer:『そう。僕は夢を見る人。一緒に夢を見てくれる?』

I Dream I Sleep † by Ayuo

I dream
Beside you
Inside you
I touch the corner
Of your eyes

I Sleep
Beside you
Inside you
The sea is in†
Your mouth

In the city of dreams
We drift in shadows
Planets in the sky
Surround me
Life longing for life

I turn
Beside you†
Inside you
  Embracing fingers
  In the Sun

  In the city of dreams
  We drift in shadows
  Planets in the sky
  Surround me
  Life longing for life

  Hold you
  Inside me
  Beside you


Dreamer: 『僕の夢の中の都では道はどこにも行かない。道は世界のはじっこから無限の宇宙につながってる。』

Yoshie:『月にいる人が寝ている私たちを、見ている。シリウスが彼の足元にいる。
Dreamer: 『惑星は太陽系の体。私たちも同じ。
Yoshie:『私とあなた。』
Dreamer: 『君と僕は生命の回りを回る長円形の天体にいる。私たちが欲しいのは生命。しかし、あまり近くに行くと、生命の強烈さによって燃え尽きてしまうかもしれない。これは生命の気と呼ばれている。それには、若枝をねんどから押し出す力がある。』
Yoshie: 『赤ん坊を無から光に押し出す力を持っている。』
Dreamer: 『僕の勇気は、夜につつまれたベッドの中で君を抱いている時に生まれる。
日が昇る頃になると、僕はその勇気をたずさえて外に出る。
これほど簡単な事はない。これほど難しい事もない。僕はその勇気を、この夜に囲まれたこの世界で探している。手がかり、地図。そして日が昇ると、私たちは服を着て、外に行く。』

Yoshie: 『頭を並べてと、私達は普通に夢を受ける状態にいる。でも、見る夢は普通ではない。月の記号の言葉は半分しか聞こえない。アステカの人々は、月が太陽の神様への道を教えてくれると、信じていた。暗闇の道が光の道につながる。記号は言葉につながる。』
Dreamer: 『そうなるだろうか?君が言葉にできない事を知りたい!一緒に夢を見たい!』



暦: 恋をする。
D:重力の強調
C:木から落ちるハート
A: 遺伝子のプール

暦: 何もない空間に浮いている
  点滅する光が
  わたしとあなた

  わたしの体にも
 あなたの体にも
 境界線はない

D:波動関数と物理学者が言う
C:波動関数って魂のこと?
A:わたしたちが見えている世界からなくなる時
  人の波動関数が別の次元に移るだけなのか?
  それが天国と呼ばれていた場所なのか?


暦: あなたはあなたのお父さんの目を持っている。
わたしはわたしの母の口を持っている。
星の子供たちはもう一度
想像した街を心の中で立てている。
一つの人生の中で完成しきれなかった物語の続きを
遺伝子が引き継いで書き続けている。
   その時の感情によって物語は変わる
   光の公園の中で遊ぶ子供たちがいる
   そこにわたしもあなたもいる

D: 地球の記憶
C: 過去と未来の記録
B: 水の中で浮いている記憶
暦: 一人の中に大勢の生物がおよいでいる
   あなたの記憶の川は
   どのように流れているのだろう?

鮎生:何もない空間に浮いている
   点滅する光が
   わたしとあなたの姿

弦楽四重奏曲:空っぽの空間の光の線
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Ayuo:
わたしのうしろにいる人たち
わたしのまえにいる人たち
わたしの先祖たちはどこに行ったのだろう?

D:『そんなこと考えてもしょうがない』
Ayuo:という人もいるかもしれない。

わたしたちを愛してくれた人たち
わたしたちが愛した人たち
その残骸の骨は地面の中に埋めた

わたしの細胞をわたしの体から切って取り出した
遠く離れた二つの国に持って行った

一つの細胞が感じたことは
もう一つの細胞が感じ取る

泣いた子供の声が母に伝わるように

わたしもあなたも
変化の過程にいる
変化の中に取り巻かれている

弦楽四重奏曲:光の点と砂粒 Points of Light and Grains of Sand
------------------------------------------------------------------------------------------------

笑いながら、死ぬ     RUMI  (訳:Ayuo)

鮎生:
『ある人が自分の恋人に
どんなに愛しているかを語っていた。
どんなに誠実であったか。
どんなに犠牲をしたか。
一緒になるために豊かな生活をあきらめ、
権力を捨てて、名誉もあきらめ、
毎朝、夜明けに起きて、
断食を続けたかと語った。

彼は燃えていた。
その力はどこから来たかも分からなかった。
彼の目には涙が浮かび、
彼はロウのように溶けてゆくようだった。

YOSHIE:
『よくやってくれた。
でも聞いて、今までのは愛の装飾のようなもの、
その葉っぱと花びらよ。
本当の愛のために生きるには、
根っ子から愛を
生きていかなければいけないわ。』

鮎生:『では、どうしたらいいの?
教えて。』

YOSHIE:
『今までのは表面的行動よ。
私のために死ぬ事はしていないじゃない。
私のために死んで。』

鮎生:『彼はそれを聞くと、
笑いながら、たおれて死んだ。
彼はバラの花のように開いた。
土に落ちて、笑いながら亡くなった。

その笑いは彼が開放された時の笑い。
そして、彼が永遠にあげた贈り物。

月の光が太陽に照らし返すと同じように、
彼は故郷に戻る呼びかけが聞こえた。

光が源に戻る時、
その光が照らしていたものは
何も持って帰らない。

ゴミ捨て場に輝いていたかもしれない。
庭に輝いていたかもしれない。
人間の二つの目の間の中心を輝かせていたかもしれない。
そんなの関係ない。

行く時は行く。
そして、そうなる時、
平原は情熱的にさみしくなって、
戻って欲しい、と願う。

弦楽四重奏曲:Siegfried Idyll